木曜日, 2月 25, 2016

プロ選手の登坂ダンシングをタイプ別に分けてみた

2016年、ダウンアンダーから
シーズンをスタートさせている
ポッツォヴィーヴォ
彼のダンシングを見て
閃いた企画
 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ、身長165cm 体重53kgの33歳
イタリア人、クライマー(地味にTTも速いのでオールラウンダーか?)
僕の好きな選手の一人だ・・・まったく同じ身長、体重なのでw

去年のジロ・デ・イタリア第3ステージの下りで落車し
意識不明とヒヤっとしたが、気を失ったこと以外は擦過傷程度で済んで
すぐに復帰できたことは記憶に新しい。

今年のダウンアンダーでも元気にコークスクリューを登っていた
で、彼がアタックした時に今更気がついたのだが
彼のダンシングはコンタドールのダンシングに中々似ている

 大まかなくくりでは、彼等は
ハンドルを肩で回しながら(ハンドルを切りながら)ダンシングする
タイプのクライマー(もといオールラウンダー)である


前輪蛇行ダンシングのメリット・デメリット


 平たく言うと体を左右に振つつ、ハンドルを左右切りながら
蛇行ダンシングしているだけなのだけど
(そもそも自転車は立ち漕ぎすると多少前輪が蛇行するけどね)

メリットとを説明する前に、言っておきたいのだが
自転車と言うのはコーナーを曲がっている時が理論上一番速い。
その理論の説明は適当に調べてほしい(ひどい

次に、坂の斜度というのは真正面から登るよりも斜めに登ったほうが
斜度はきつくない、登坂がしんどい時は蛇行するとラクなんてよく言われる

まず、ダンシング自体が自転車を傾けて意図的にコーナーを曲がっている
状態を作っている。なのでダンシングした時点で
自転車自体は必ず少し蛇行する

更に、そこでハンドルを僅かに切ると前輪が蛇行し
自転車が細いライン上をフラフラと細かく蛇行するように動く
これが蛇行ダンシング、コンタドール達のやっていること

ノーマルのダンシングに比べて、メリットとしては
上記したように、僅かに蛇行することによって若干斜度を誤魔化せる
そして細かくカーブしているので、単純にラクで速いのだ

デメリットは、厳密には走る距離が若干増えていることになるのだが
(僅かでも蛇行してるので)
そこは速度と、ペダリングの軽さでカバーしているというわけだ

致命的な問題としては、あまりケイデンスやスピードが上がり過ぎると
細かく蛇行するのが困難になるということ
せいぜい、35km/hくらいまでで(それでも登坂ということを考えると相当速いが

それ以上の速度ではわざわざ使う様なものでもないと思われる
要はスプリントには不向きなのである

加えて荒れた路面や未舗装路にめっぽう弱いという
分かりやすい弱点もあるが、そもそもダンシングの弱点でもあるが
(トラクションが抜けやすいので)

前輪を蛇行させるとさらに余計なロスが生まれやすい


・・・と前置きはこれくらいにして
暇にまかせて、ヒルクライムの強めの選手をダンシングのタイプ別に分けてみた


前輪蛇行タイプ


アルベルト・コンタドール
クリス・フルーム
ナイロ・キンタナ
アレハンドロ・バルベルデ
リッチー・ポート
ラファウ・マイカ
ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ
ティボー・ピノ
ルイ・コスタ
エステバン・チャベス※
ジュリアン・アレドンド
レオパルド・ケーニッヒ
セルジオ・エナオ
アレッサンドロ・デマルキ
アンドリュー・タランスキー
サムエル・サンチェス
ダン・マーティン
ミカウ・クヴィアトコフスキー※
ペテル・サガン※
イゴール・アントン

新城幸也
(かつて左右に振る派だったがおそらく2013年くらいに変わった)

さて、なに順で名前を並べているのでしょうかw

 言うまでもなく、コンタドールが一番巧い
なにせ、高めのケイデンスであれだけ蛇行しながら長時間ダンシングできるのは
コンタドールくらいだろう

2014年だったか「ダンシングは効率が良くないと判明したので減らしていく」
宣言をしたのだが、一向に減らす様子はなく

去年のジロに至っては、メカトラ中に全開で集団を引いた
アスタナとカチューシャにたった一人で制裁を加えるべく
弱虫ペダルよろしく100人抜きで先頭集団に追いつき

そのまま3位になる、ダンシングしっぱなし
しかも2位をアルとのタイム差稼ぎに強調し、手伝ってくれた
クルイシュウィクに譲る紳士っぷり

文句なしの生きる伝説、世界で一番ダンシングの登坂が巧い男!

フルームが唯一、コンタドールと対等に渡り合える(あるいは超える)
ケイデンスでダンシングが出来る

しかし、腕が異様に長いプロポーションで蛇行ダンシングを行うので
かなりガチャガチャした奇っ怪なダンシングになるが
それは蛇行させてるからに他ならない

とは言え元の体格の良さがあるのでコンタドールのように
やたら連発せずに、じっとシッティングで耐えていたり
シッティングのまま強烈なアタック(2013ツールのモン・ヴァントゥ等)

をぶちかますこともある・・・がこの時の印象が強すぎるだけで
シッティングのまま牙を剥いたのはこの時くらい
意外にもダンシングでアタックすることが多い

ホアキンとバルベルデもゆらゆらと大きく前輪を蛇行させて
ダンシングをするタイプ、ただしコンタドールと違って
ケイデンスではなくギアの重さで勝負を仕掛けるタイプ=パンチャー色が強い

また、あまり体を振らずに蛇行させるタイプの選手もいて
エステバン・チャベスがそれにあたる

クヴィアトコフスキーもブラケットポジションで登坂ダンシング中は
前輪を蛇行させているが、パンチャー兼オールラウンダーな脚質なので
彼は勝負どころまで、あまり積極的なダンシングはしない

アルデンヌクラシック等の勝負どころではほぼ下ハンを握ってしまう選手
なので、その場合は蛇行させていない、サガンも似たような感じだが

サガンの場合、斜度30%レベル坂の場合に限りクライマーとほぼ同等か
それ以上のスピードで登ることが出来る。この辺は
蛇行ダンシング云々というよりも、MTBでのテクニックが生きているのだろう

余談だが、クヴィアトコフスキーよりサガンのほうがスプリント力があり
サガンよりクヴィアトコフスキーの方が登坂力がある
それ以外はとても似ている、性格はあんまり似ていないがw

当たり前だが下ハンを握って立ち漕ぎ(ほぼスプリントに近いが
状態だと殆どの選手は蛇行させない、というか速度が上がれば上がるほど
意図的に前輪を蛇行させるメリットが薄いのだと思われる(というか危ない

ゴールスプリントで前輪がド派手にグねってる選手がいるが
あれはわざとではなくもがき過ぎたり、路面状況が悪くて暴れているだけ

基本的にはコンタドールをお手本とすると、ペダリングの左右の
動きに合わせて自分の体重を利用するように踏んでいく
やり方の選手が多い

何故かスペイン選手が多いのが面白い、なぜだ

ノーマルタイプ(バイクを左右に振るタイプ)


ヴィンチェンツォ・ニーバリ
ファビオ・アル
ミカル・ランダ
カデル・エヴァンス
ティージェイ・ヴァンガーデレン
トム・デュムラン
クリス・ホーナー
ジャン=クリストフ・ペロー
ロベルト・ヘーシンク
バウケ・モレマ
ライダー・ヘシェダル
ピエール・ロラン
マティアス・フランク
ダミアーノ・クネゴ
ジュリアン・アラフィリップ
ルイス・レオン・サンチェス
トマ・ヴォクレール
フィリップ・ジルベール
サイモン・ゲランス
ファビアン・カンチェラーラ
(カンチェはおまけというか趣味だw)

 ノーマルタイプのダンシングも、バイクだけ左右に振るタイプと
バイクと体も両方左右に振るタイプと二通りある
こっちは半々くらいの割合だ

体も振るタイプの方がじゃっかん前輪が蛇行するが
蛇行ダンシングほど派手にゆらゆら動いたりはしないが
アタックを掛けた時身体の動きが大きいと、揺らめくこともある

いろいろ調べたところ、身長がデカイ選手はノーマルタイプが多い
そもそも体がデカイので長時間ダンシングしない
というのもあるのだろう

カンチェラーラのような巨体のルーラーでは休むダンシングか
ストラーデ・ビアンケのゴール前の激坂くらいでしか
本気の登坂ダンシングはしないと思われる(2012年参照、珍しく必死な姿を見た

体ごと大きく振る選手はパンチャーの場合が多い(ジルベールなど
クライマー、オールラウンダーはバイクだけ振る場合がほとんど

これを言ってしまうと元も子もないが
ノーマルタイプのダンシング使いはそんなにダンシングを使わなかったりするw

例外なのがアルとホーナーさん

アルなんかは、見てるこっちに闘志が伝わってくるくらいの
力強さが伝わってくるダンシング、下ハンを握った時はパンターニそっくりだが
悪い言い方をすると必死ダンシングw 必殺技と言わんばかりの勢いで繰り出す

ホーナーさんは、コンタドールよりもダンシングの頻度が高い
延々立ったまま走り続けていたりする
身体も動かさず、バイクも僅かにしか振らない


さて、どちらが良いのでしょう?


 結論から言えば、どっちでもいい。というかどうでもいい
リスペクトしてる選手を真似るのもいいだろうし
自分にしっくりくるやり方でも良いだろうし・・・

使い分けるのが一番良いのだろうけど、身体に染み付いたリズムは
簡単には切り替えしづらいので、基本的にはどちらか一方になる

切り替えるとはいっても、基本的に動作を控えめにする・・・
見たいな中途半端な状態にしかならない気がするので
割りきって使わないか、無視してダンシングしまくるかだと思う


 毎回この手のたくさんの動画を見比べる的なやつ
見続けるうちにゲシュタルト崩壊してきて
「え?これは・・・なんだ???」とか分からなくなってくるんだよねw

結局は「しっくり来る方やっとけ」みたいなことを言うくせに
一体なにをやってるんでしょう・・・とりあえず自分で自分を褒めるしかない


バイクラがまたもペダリング特集、実に有能

0 件のコメント:

コメントを投稿