木曜日, 12月 18, 2014

呼吸アシストダンシング、コンタドールは呼吸せずに呼吸する

呼吸しようとせずに
呼吸できるだってー!?
教授!!これはいったい!?


相変わらずコンタドールネタです
以前コンタドールとフルームのダンシングはまったく違うわけではなく
近いものがある、ということを書きました

しかし、コンタドールにとても近いダンシングをする人は少ないし
コンタドールのようにダンシングを多用する選手もほとんど居ない
クリス・ホーナーくらい?でも彼のダンシングはコンタとはだいぶ違う

写真でみて分かる通り、コンタドールは肘の角度も脚の開き具合も
バルベルデやホアキンとはまったく違う
かなり閉じている。

普通にダンシングするとガニ股気味になるものなのだが
コンタドールは普通にランニングしてるかのごとくスタンスが狭い
これは別段Qファクターがめちゃくちゃ狭いとかそういう話ではない。

全ては体を振るために


コンタドールはヘリのカメラで上空から映像でもすぐに分かるくらい
特徴的なダンシングだが、平たく言ってしまうと上半身が動きすぎなのである
もうめちゃくちゃ体を振っている

他の選手たちは体を振るのではなく自分のバイクを振るために
ダンシングするのだが、コンタドールだけ目的が違う
コンタドールにとっては体をぴょこぴょこ動かすことの方が遥かに重要だ。



上半身が振れるのはタブー?果たして本当にそうか?


ダンシング、シッティング問わず、上半身が右へ左へとブレることは
良いことではない、体力の無駄・・・とされているが・・・ではコレはなんなのだ??
アルベルト・コンタドールは無駄なことをしてグランツールを勝っているのか?

当然彼のやっていることを無駄だと認識して真似をしても
本当に無駄になってしまう

ものまね講座の回に書いたけど、そもそも彼は圧倒的な登坂スピードの為に
この動きをしているわけではなく、鉄壁のダンシングなのだと
あくまで守りの動きであって攻めではない。

呼吸アシストダンシング


結論から言うと、

コンタドールは呼吸せずに呼吸をするためにダンシングしている


というと少し大げさかもしれないが、呼吸をアシストする為に
ダンシングしている

斜度がキツイからダンシングしているわけじゃない
現にコンタドールは斜度がそこまで厳しくなくてもダンシングする

人間、呼吸をするには呼吸筋で吸って吐く動作をしているが
その時頑張っているのは”呼吸筋”であって”肺”ではない

肺はなんにもしない、内臓だから自ら動けない
ざっくり言うと、横隔膜が持ち上がって肺を潰して息を吐く
横隔膜が緩めば空気が自動的に鼻や口から入ってくる

だからスポーツにおいては

息は吸うことよりも吐くことに集中した方がよい


吸うのは特別意識せずとも吸えるからで、人間は息を吐くには
特別に”息を吐く”という動作をしないと出来ないのだ

息を吸ったり吐いたりすることは疲れる



ちょっと話はズレるけども、カラオケは好きだろうか?
歌が上手い人は大抵、キーの高い曲を大熱唱し、そこそこ汗を書いて
「ふぃーーつかれたぜ」なんて言ったりする

なんで歌ってるのに疲れるんだよと特別歌が好きでない人は
思ったりすると思うが、ハッキリ言って歌に限らず音楽というジャンルは
ほぼスポーツである。

体幹がしっかりしていないとまともに歌唱、演奏することは不可能だ
トランペットだろうが、ピアノだろうがバイオリンだろうが

それは同じことで、姿勢(ポジション)がモノを言う事は基本的に
全てスポーツに匹敵するレベルで体力を使うことだと思っていい
なので書道なんかも結構ハードだ。

良い姿勢をキープするのは肉体的にハードなことで
そこでさらに息を吸ったり吐いたりするなんてことは大変なことだ
息を吐くことで音を出す楽器や歌を歌うということ以外でも

動きに合わせて呼吸を整える必要があるので
呼吸というのは思っている以上にとても重要だ。

音楽でそれくらいしんどいのだから、スポーツなんてとてつもなく
しんどいことだ。

音楽の呼吸が音をコントロールする繊細なハードワークだとすれば
スポーツの呼吸はリズムを破綻させぬように維持するハードワーク

そもそも、体の各パーツの中でも大きめの筋肉たちが悲鳴を上げるほどの
高負荷がかかっている状態で呼吸筋を使って呼吸するということは
かなり辛い。

体の動きで肺から空気を吐き出す


そこでコンタドールはどうしているかというと、上半身を振る
片方の肩が上がるくらい極端に体を斜めにすることで
体内の横隔膜を押し上げて肺から空気を吐き出すアシストをしている

これは誰でもできる事で、背筋を伸ばし、
肩を大きく上げ下げするように頭を左右に振ってみよう
(コンタドールがダンシングしている姿をイメージするほうがはやいかも)

そうすると胸辺りから何かがこすれるような音が聞こえると思う

これは体の中で横隔膜が押し上げられて肺を圧縮し、空気を吐き出している音
この音に合わせて息を吐くと仏に呼吸するよりも、かなり楽に
呼吸が出来る。

コンタドールの腕や脚がなぜ他の選手に比べて閉じているのかといえば
そのほうが肺を圧縮しやすいからだ
開いてしまうと肩を動かしにくいのだ

これがやりたいが為にコンタドールはやたら体を振るダンシングを
しているのである、何度も書くが決して速いダンシングではない
守りのダンシングである

誰もが疲弊している時、コンタドールは疲れていない


彼の強さはここに尽きるのだ
そうそう強さの秘密といえばもう一人・・・


2:20から注目・・・使ってますね、新城幸也!12:20でも使ってます
しかし彼はキッチリ攻めと守りのダンシングを使い分けている
攻めのダンシングというかスプリントだけど。

今年のツール第17ステージでも、この守りのダンシングで
かなり長いこと先頭を引き続け、集団を崩壊させていましたから
新城選手はコンタドールに比べると手首の使い方に特徴がある。

まあこの辺は個人のクセというか好みの領域な気もします
新城選手にとってのハンドルに荷重をかけないイメージがああいう
軽やかな手首の動きに現れているのかもしれない。

脚をどれくらい開いているか分かりづらいがだが、2012年の頃よりは
閉じているように思える
何より2012年のツールではこういう動きはしていないと思う。


この時も強かったけど明らかに違う
2013年の全日本選手権で既に肩を強く意識した動きをしているから
1年もしないうちにフォームを大胆に変えてきたことになる

今年のツールはもちろん、ケベックで逃げた時も
逃げのメンツの中で頭ひとつ抜けて強かった

ダンシングもそうだが、シッティングでも新城選手は
かなり肩や上半身を意識してペダリングしている

シッティングでここまで意識しているのはカンチェラーラくらいなのではないか
ってくらい、新城選手の上半身の動きはプロトン屈指のレベルだと思っていい。


ちなみに今月112/20に発売するバイシクルクラブに
新城選手のペダリングをスマートコーチングの安藤さんが解説してるみたいですよ!
これはかなり面白そう!

バイシクルクラブって年末になると毎回面白い特集
やってくれるのよねえ・・

自転車の常識はスポーツの非常識


機材スポーツだからなのか定かではないが、ロードバイクの乗り方に関して
平然と非常識を常識としたり、常識を非常識としていることが多々ある

単純に”マイナースポーツ”だからといえばそうなのかもしれないが
それは余計に大問題であるw

速くて楽なら何でもいい、といえばあまりにも大雑把だけれど
現実的にはそうなのだ
「でも本にそう書いてあったから」とか「あの選手はああいってた」とか
自分で考えないのが一番の問題

あの選手がコンタドールとかカンチェラーラとかそういう英雄クラスだとしても
慎重に言葉を汲み取らなければならない

データとしてきっちり収集し、そのデータを使って自分で新しいものを
組み立てるのだ・・・新城選手はそういうことを
かなり積極的に行っているように見える

見習うべきは、走りよりも、フォームよりも”そこ”なのだ・・・!


それにしても、ついにツールの17ステージで新城選手が鬼引きしてる
シーンはどこ漁っても見つからなかった・・・
Jスポのハイライトにすらないとか・・・

いや、確かにマイカがヴィスコンティをぶっちぎるアタックはスゴイんですけどね
そこじゃ・・ねえだろ日本人なら・・・

フルームやコンタが落車したシーンいれるんだから
あの鬼引きのシーンもいれなさいよ!

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